金融庁、金融機関に認知症高齢者の柔軟な対応求める。全国銀行協会が3月に本人の意思確認ができない場合の預金引出の対応公表
- 2020.08.01
- お金
認知症の高齢者の預金の引出しの現状
金融庁は29日、金融審議会の作業部会を開き、金融機関に認知症の高齢者への柔軟な対応などを求めた報告書を大筋でまとめた。報告書では、認知判断能力の低下などで金融機関の窓口に本人がいけない場合、家族などが預金を引き出せない事例があると指摘。本人であっても意思が確認できないとの理由から預金が引き出せない事例もあるという。医療や介護など明らかに本人のための支出で、病院に金融機関が直接振り込むなど手続きが担保されている場合は、家族などによる手続きを認める柔軟な対応が望ましいと指摘した。
読売新聞2020.7.30朝刊
第一生命経済研究所の試算によると、認知症患者は2030年には744万人に達するといいます。
認知症の方の所有する金融資産も2017年度末時点では143兆円、2030年度時点には215兆円にのぼるという見通しがでています。
預金者が認知症だと判断されると口座が凍結され、入院費や介護費用などの口座名義人のために利用することが明確でも、預金の引出しができないという事態が多々あります。
全国銀行協会の対応
全国銀行協会は、3月26日に広報で「預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引出しに関するご案内資料の作成について」を公表しています。
資料の内容
基本的に、預金の引出しには、預金者の意思確認は必要です。
ただ、預金者の生活費、入院や介護施設費用等のために引き出す必要がある場合は、以下のものを準備すれば引き下ろしができる可能性があるということです。
・預金者本人の通帳・キャッシュカード・お届け印
・来店者の本人確認書類・預金者本人と関係性がわかる書類(戸籍妙本等)
・お金が必要な理由がわかる書類(入院や介護施設費用の請求書など)
まとめ
2020年3月の全国銀行協会の通達による認知症患者の預金引き出しに関する業界統一の対応は、一時的な入院費・介護施設費などへの支払いに限定されていて、継続的な預金者本人の引出しが必要な場合は、成年後見制度の利用を検討する必要があります。
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